絵本(プロット集)

小さい頃から絵を描くことは好きでした。それに、目に見えないものを見る人でした。

ここでは、絵本になる前のはしがきのようなものを載せておこうと思います。

新月と満月

新月のときに作ったブレスレット「新月」と、満月のときに作ったブレスレット「満月」を左の手首にはめている。

交差点の歩道を渡ろうとしたときに、暴走したクルマが突っ込んできた。

ぼくの左手から何かが飛び出して、クルマにあたってはじけた。

クルマの暴走を止めたのは「新月」と「満月」2匹の猿だった。

2匹は即死だった。

ぼくの身代わりになってくれた。

慌てて飛び出てきた運転手もぼくも2匹の猿がすーっと消えていくのを見た。

それから、まわりの人も、運転手もわれに返ったように、何事もなかったように動き出した。

もう、誰も2匹の猿を覚えていなかった。

左手のブレスレットが、寄り添うように輝いていた。