練習しなければならぬという呪文
音楽に限らず、何をするにしても練習は必要です。時間があれば練習するに越したことはありません。ぼくが10代20代の頃は、「1日練習しなければ、取り戻すのに3日かかる。」と言われたものです。音楽の世界では、早期教育が効果的ということもよく言われます。「3歳からやって、大学を出た人にはかなわない。」と思われがちです。
それはきっと、思い込みだろうなと思います。ぼくは、12歳になるまで音楽に出会うことなく育ち、高校卒業と同時に上京してライブ演奏をする中で、音大卒だから演奏がうまいわけではないという実例をたくさん見てきました。ぼく自身、若い頃を含めて、練習にはそんなに時間をかけていません。それだけの時間の余裕はないし、音を出せる場所がどこにでもあるわけではありません。
ただやみくもに時間をかけるだけの練習であれば、あまり効果は期待できません。それどころか、ちょっと辛口ですが、「あれは下手になるために練習をしているのだ。」とぼくは思います。
効果的な練習というのは「確実にできることを腑に落とす。」ということに尽きます。そのためには、なんでもいいので、自分のいいところを紙に書き出してみることです。「ミの音がきれいだ。」と思ったら、そのミの音を磨きます。そして「このミがいい。」と自分で味わってみることです。音色の美しさは何はともあれ、誰にもマネできない魅力になる可能性を秘めています。うまく演奏できないフレーズを何度も繰り返すのが練習だと思うのを今すぐやめましょう。そのフレーズも、分解していけばたったひとつの音に行き着くからです。
そして何よりも、音楽を愛し楽しむことが大切です。練習であれステージであれ、人の耳に届くのは、心から楽しんでいるひとつひとつの音です。
「練習しなければうまくなれない。」という呪文を唱えるのを今すぐやめましょう。あなたにも必ず、光る何かがあります。そこを磨くことから、あなたの音楽が始まります。
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