リズムは体(からだ)

自分の心臓の音はぼくには聞こえません。「聞こえるよ。」という方はいますか。それでも、こうしてからだが動かせるのは、心臓が絶え間なく鼓動しているからです。音は聞こえなくても、からだは心臓の動きを常に感じています。心臓は時に早く、時にゆっくりとゆらぎながらリズムを刻んでいます。心臓が1分間にどれくらいの回数で刻まれているのかを「心拍数」と呼んでいます。だいたい60回から100回くらいの範囲にあるでしょうか。

この心拍数よりも低い1分間に50回くらいのテンポを、多くの人は「非常にゆっくり」と感じます。反対に、心拍数よりも高い1分間に120回くらいのテンポを「元気がいい」、もっと早い150回くらいのテンポを「非常に速い」と感じます。

音楽は、このようにからだのリズムを感じることで、より楽しみやすくなります。からだのリズムを感じるためには、何も難しいことをする必要はありません。自然な呼吸をしながら、からだの余分な力を抜いて、リラックスすること、からだを自然に動かすことだけです。

リズムは波

リズムは、カチカチと時計のように刻まれているのではなく、海岸に打ち寄せる波のようにだんだんと強く、だんだんと弱く繰り返されるものです。足踏みをしたり、首を縦に振るといったリズムを刻む動作は、からだの動きを止めてしまう作用があることを知っておくといいでしょう。このことは「足踏みや首振りをしてはいけない。」と言っているのではありません。腰に重心を感じて、からだを自然に動かすことが大切だということです。

三拍子の誤解

日本の音楽教育では、三拍子を三角形で表すことがあります。三角形というのは、見るからに尖った図形に見えます。「強、弱、弱。」というリズムだという表現もよく見られます。そのため三拍子を、カチカチカチとなんとなく緊張感のあるリズムに捉えていると感じられる演奏を聞くことがあります。

三拍子は円を描くリズムです。ヨーロッパでは男女がペアで円を描きながら踊る「ワルツ=円舞曲」に多く使われてきたリズムです。

試しに「イチッ、ニッ、サンッ!」ではなく「ワンツースリー」と声に出して数えてみましょう。言葉の違い、読み方によってもリズムが変わることがわかると思います。

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