風と友だち

トンビのルアハは、風と友だちです。時々、自分が風になったような気分で今日も空を舞っています。

いつも低く飛んでいるアルガと朝の挨拶です。アルガは海の表面すれすれを飛ぶのが大好きです。ルアハはゆっくりと円を描きながらアルガの近くに降りていきます。海のにおいがぐんと近くなる瞬間、風が変わります。少しバタバタすると、アルガが笑って笛を吹くように鳴きました。

カラスのシャハールが松の木の上で鳴いています。シャハールの子どもたちは、まだ森の向こうで眠っているようです。風が小さく渦を巻きながら森の方に木の葉を運んでいます。

ウミネコのハトゥールにとって初めての冬が来ることを風がささやいています。ほかのウミネコたちは、波打ち際でみんなで揃って風の吹くほうを向いています。時々風が変わると、一羽が飛び立ち、つられて二羽、三羽と、風に吹かれたように飛んでいきます。いちばん向こうの見張りのいるところまで行って、また風を見つめるように羽を下ろします。

風は松の木を揺らします。波しぶきが千々(ちぢ)に舞い、岩に当たりゴーッとうなります。雲は流れ、陽の光を踊らせます。


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